女王様をしていると実にいろんな性癖の人に出会う。
特に、私の場合は見た目が怖くないために初心者が訪れやすい。
その日、訪れた男もそんな初心者だった。
その男性はホテルに着くなり神妙な面持ちで私に語りだした。
「自分、こういうお店は初めてなんです。
SMはもちろん普通のお店も経験がなくて…」
──そうなの、勇気を出してきてくれてありがとう。
それで、そんなあなたがどうして私のところに来てくれたのかな?
「自分…露出が好きなんです。
でも、人に見せたいとかではなくて!
見られてしまうかもしれないというスリルを味わいたいと言うか…。」
──そう、普段からそんな事をしているのね。
「いえ!実はまだ経験がなくて…。
好きなんですけど、まだやったことはなくて憧れだったんです。
無理やり命令されて裸になって、それを見られてしまうスリルをどうしても味わいたくて。」
今まで一人、妄想の中で膨らませ続けてきた事を勇気を出して現実にしようとしている彼の必死さがひしひしと伝わってきた。
まぁ、言っている事とこれからやろうとしている事はただの変態なのだけれど(笑)
それでも自分の中の欲望をしっかりと犯罪にならない形で消化しようとしてる彼の懸命さは受け止めてあげたいと思った。
SMの願望の中には一歩間違えれば簡単に犯罪につながるモノも多くある。
露出なんかはまさにそうで、それを一般人に向ければ即逮捕だ。
それをしっかりとお店で犯罪にならずに叶えようとしている人の願望はできる限り叶えてあげたいと私は思う。
──わかったわ、きっと忘れられない1日になるわよ。
私は首輪と鎖で出来たリードをカバンから取り出すと彼に着けてあげた。
「ま、まさかこのまま外へ⁉」
──安心しなさい、誰もあなたのことなんて見てないわ。
こういうのはね、おどおどしてる方が逆に目立つの。
そっちのほうがお望み?
彼はフルフルと首を横に振った。
ここは新宿、本当に色んな人がいる中で首輪をしている人がいても何の不思議も違和感もない。
彼の着てきたスーツと首輪の違和感がなんともセクシーでエロい。
ジャラジャラとリードが音を立てる。
ホテルの廊下をリードで繋がれた大の男が歩いている姿はラブホと言えども異様だ。
しかし、残念なことに誰ともすれ違わなかった。
面白くないなと私はため息をつき、受付に外出を伝えた。
しっかり短くリードを持っていたので受付の人からはしっかりその様子が見える。
彼は流石に恥ずかしいのか、顔を真赤にして俯いている。
流石に全てが初めての彼をリードで引き回してトラウマにしてもかわいそうだな…。
そう思った私はホテルのロビーでリードを外してあげることにした。
それでもごついエナメル質の黒光りする首輪は依然、彼の首元で強い主張をしている。
首元のボタンを開けているため、そこに目をやれば首輪をしているのは一目瞭然だ。
彼もそれをわかっているのか、ホテルの敷地から出るのをためらっている。
遅い…リードを外さなければよかったかしらと少し後悔をした。
しびれを切らした私は男性を置いて歩き出すことに。
すると慌てて付いてきたが、どうみても挙動が不審者で思わず吹き出した。
──あなた、そんなにキョロキョロしてたら本当に目立つわよ(笑)
そんなに視線を集めたいの?
せっかくリードを外してあげたっていうのに。
「す、すみません。
どうしても気になって…」
そんな彼を連れて暫く歩くと、私はビルとビルの間の狭い道に入り込んだ。
ゴミ箱や廃棄物なんかが置かれており、誰かが通る心配もない。
とはいえ、一本道なので通りすがりに目をやれば人がいることはハッキリわかる。
そんな狭い路地で私は彼に裸になるよう命じた。
この道に入った時点で少しは覚悟をしていたようで、恐る恐るボタンに手をかけた。
このとき彼の手は本当にアニメかのように震えていて、それが興奮なのか恐怖なのかはすぐに分かった。
彼がズボンに手をかけた時、明らかに股間が膨らんでいたからだ。
──震えるほど興奮してるの?
私が耳元でそう囁くと、意を決したようにズボンを下ろした。
これで残っているのはパンツ一枚。
私はその時点でしまっておいたリードを再び彼の首輪に装着した。
ビルに挟まれた狭い路地、薄暗いとはいえ真っ昼間に外でパンツ一枚に首輪をつけられリードをされている。
そんな状況に興奮しすぎたのか、彼のパンツは我慢汁が滲むほど濡れていた。
リードをグイッと手繰り寄せ「変態」と自分を自覚させてあげる。
すると息を荒くして、最後の一枚に手をかけた。
ゆっくりと降ろされるパンツに勃起したチンコが引っかかってストンとは脱げないようだ。
引っかかったパンツを下ろすと我慢汁が糸を引いて滴った。
──すぐそこの通りには人がいるっていうのに、真っ昼間に外で全裸なのはどんな気分?
「す、、すごく、、怖いけど…興奮します。」
──ならこのままここでオナニーしなさい。
ヒエ?と情けない声を出す彼の手を取り、ギンギンに勃起しているチンコに添えてあげる。
既に興奮している状態なのだからやり始めてしまえば話は早い。
堰を切ったようにチンコを擦る男性に追い打ちをかける。
──この路地に入るところにちょうど自販機があったのを見た?
もしもそこでジュースを買う人がいたら確実に見られちゃうわね。
私の言葉に更に興奮したのか、チンコを扱く手が早くなった。
壁に向いている彼を路地入口の方へ向かせる。
私は背も小さいため彼の後ろに隠れてしまうので通りから見れば男が一人でオナニーしているようにしか見えないだろう。
通りを行き交う人がコチラからはよく見える。
「あぁ。こわい…こわい…。」
そうつぶやきながらも、勃起とそれを扱く手は止まらなかった。
この時わたしは(人が怖いと思いながらもホラー映画を見たくなるのはこういうことかー)と妙に納得(笑)
そんなどうでもいいことを考えている間にも男は一人でとっても楽しそうだ。
そこへどんな幸運だろうか、女性が自販機を利用したのだ。
キャバ嬢だろうか、とっても可愛らしい女性がコチラ向きにジュースを買っている。
数センチ視線を逸らせばそこには全裸でチンコを扱いている変態がいるなんて思いもしていないだろう。
──手は止めちゃダメよ。
彼はぎゅっとチンコを強く握りしめて今までで一番早くチンコを扱いた。
その時、ビクッとしたかと思うとポタポタと精液が地面に滴り落ちた。
飛ばしたらバレると思ったのか、先っぽを手で覆い握りしめている。
次に見た時にはもう女性の姿はなかった。
彼が膝から崩れ落ちた。
初めての露出で本当にあと一歩のところで見られてしまうスリルを味わいながら射精が出来たのだから、相当の快感だったのだろう。
完全にボーッとしていてどうにもならない。
軽く頬を叩いてどこかへ行ってしまっていた彼を呼び戻す(笑)
それでも力が抜けてしまったのか立てないようで仕方なくシャツを着せてあげた。
精液でベチョベチョの手を壁になすりつけさせ、残りは自力で着てもらう。
その後、フラフラの足でなんとかホテルに戻る途中に彼は何度も「ありがとうございます。」とお礼を言った。
本番はこの後だということも知らずに…。
それからホテルに戻ると彼は先程の興奮を永遠と報告してきた。
嬉しそうに語る彼にコチラも嬉しくなるが、彼はまだ本当の露出を知らない。
時間はまだたっぷりあるのに、もう大満足のような表情に私は満足できなくなってしまったのだ。
そんな私の気持ちなんて勿論知る由もない彼は一通り話し終わると、極度の緊張から開放されたのかベッドで眠ってしまった。
その間に私は某有名アダルト掲示板にこんな書き込みをした。
『本日21時、〇〇公園にて男性の露出調教あり。声掛け・お触り禁止』
何も知らない彼が眠りから覚めると、かなりの時間が経っていたことに驚き謝ってきたがあんな体験をすれば無理もないと慰めホテルを出た。
もう完全に終わりだと思っている彼に調教が終わりではないことをしっかりと自覚させる。
──あなた、満足した表情しているけれどまだ時間が余ってること分かってる?
わざわざこれを言う意味が分かる?
彼はハッとしたように先程までの朗らかな顔とは打って変わって、緊張したような先程の裏路地での顔と同じような表情になった。
昼間よりも尚更人が多くなる夜の新宿、誰も私達のことなど見ていない。
私は道端でそっと彼の首に首輪を嵌めた。
今度はリードもつないで歩き始める。
21時、ここは夜に青姦などをしている人が多い知る人ぞ知る有名スポットだ。
カップルや何かを飲んでいる男性や待ち合わせのような女性など意外と人が多い。
「ここで、、何を。」
不安そうに尋ねる彼に私は笑顔で「皆に見てもらいましょう。」と言い、ベンチに腰掛けた。
私はベンチに座ったまま不審がられないように片手でそっとベルトを外しチャックを下ろし、パンツの隙間から既に大きくなっている彼のチンコを取り出した。
しっかり目を凝らしてみればチンコを露出しているのは一目瞭然だが、ほとんどの人はコチラのことなど見ていないし見ている人は掲示板で知った覗き目的の人だけだ。
ハァハァと息が荒くなっていくのが分かる。
昼間とは違い、見えにくい場所に隠れるわけではなくみんなのいる場所で普通を装いチンコを出しているのだ。
それは比べ物にならないスリルだろう。
私はそっと「オナニーをしなさい。」と指示をした。
すると彼はとてもゆっくりとオナニーをし始めた。
緊張や恐怖からあまりにもゆっくりなオナニーに「それではイケないでしょう。」と彼の手を取りスピードを早めた。
──ほら、あそこのカップルがこっちを見てるわよ。
全くの偶然か、掲示板で知ってか分からないがカップルがこちらをじっと見ている。
彼もその視線に気がついたようだが手を止めることはなかった。
それどころか手の動きが一層早くなる。
もう何人かこちらを見ているが全て男性だ。
今思えばあれはゲイの方だったかもしれない。
──あなた、これで本物の露出狂ね。
人が見ている中でこんなに興奮してチンコを扱いて…。
段々と彼の姿勢もおかしなことになっていって、初めは普通に座っていたのに今ではかなりずり落ちて酔っ払いがベンチに座っているような格好になっている。
──そんなに興奮してハァハァしてるから、皆不思議そうに見てるわよ?
でも安心して、こんな暗がりでは誰もアナタのことは分からない。
そのままイキなさい。
私の言葉を合図に彼はギュッと目をつぶり激しくチンコを扱くと勢いよく精液を飛ばした。
どこからかフフッと笑い声が聞こえる。
その声に急に我に返ったのか、急いでモノをしまう彼を連れて公園を後にした。
「あれは流石にやばいんじゃ…通報されたり…」
不安そうにしている彼に掲示板への書き込みを伝えると、それはそれでギャラリーがなんとなく多かった理由をしり顔を赤くしていた。
この日以来、たまに私のもとにやってくる彼だがそのたびに『この前は夜の公園でオナニーをした』だとか『人のいない河原で露出した』だの露出ライフを楽しんでいるようだ。
私としては人に見せびらかしたりせず、自己完結ができるならありだとは思っているが彼をニュースで見る日もそう遠くはないような気がしてならない。